
プレゼンテーションの準備に追われ、スライド作成に多くの時間を費やしていませんか?構成を考え、内容をまとめ、デザインを整える作業は、非常に手間がかかるものです。しかし、生成AIの進化により、このプロセスは劇的に変わりつつあります。キーワードや簡単な指示を与えるだけで、AIがスライドの構成案からデザインまでを自動で生成してくれる時代になりました。
本記事では、スライド作成を効率化する生成AIツールの中でも、無料で利用できるサービスに焦点を当て、12種類のツールを徹底的に比較・解説します。ChatGPTのような汎用的な対話型AIから、Gammaのようなスライド作成特化型ツールまで、それぞれの特徴、無料プランの範囲、日本語対応の可否、生成形式などを詳しく見ていきます。
この記事を読めば、あなたの目的やスタイルに最適な無料スライド生成AIツールが見つかり、資料作成の時間を大幅に短縮できるようになるでしょう。
生成AIによるスライド作成の基本
生成AIを活用したスライド作成は、大きく分けて2つのアプローチがあります。一つはChatGPTやGeminiのような対話型AIに構成案やテキストを生成させる方法、もう一つはGammaやCanva AIのようにデザインまで含めて自動生成する特化型ツールを利用する方法です。
対話型AIの活用: ChatGPT、Copilot、Gemini、Claude、Perplexityといった対話型AIは、プレゼンテーションのテーマや伝えたい要点を入力することで、スライドの構成案、各スライドのタイトル、箇条書きのテキストなどを瞬時に生成します。このテキストをコピーし、PowerPointやGoogleスライドなどのプレゼンテーションソフトに貼り付けて手動でデザインを整えるのが基本的な使い方です。アイデア出しや構成の壁打ち相手として非常に優れています。
スライド作成特化型ツールの活用: Gamma、Canva AIスライド、SlidesGPTなどの特化型ツールは、テキスト生成だけでなく、デザインのレイアウト、画像の選定、配色の決定までを自動で行います。 テーマを入力するだけで、デザイン性の高いスライドが一瞬で完成するため、デザインが苦手な人や、とにかく早く資料を完成させたい場合に非常に強力な助けとなります。

比較対象ツール一覧
今回は、以下の12ツールを比較対象として取り上げます。それぞれがどのような特徴を持つのか、次の比較表で詳しく見ていきましょう。
- 対話型AI
- ChatGPT
- Copilot
- Gemini
- Claude
- Perplexity
- スライド作成特化型ツール
- Gamma
- Canva AIスライド
- SlidesGPT
- MagicSlides
- SlidesGo
- その他・ユニークなツール
- Opal
- まじん式v3
【比較表】無料スライド生成AIツール12選
| ツール名 | 無料プラン内容 | 日本語対応 | 生成形式 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | テキスト生成は無料版で可能。GPT-4oでは直接PPTXファイルを生成する機能も(機能制限あり)。 | ◎ | テキスト、VBAコード、PPTX(有料版) | 構成案や原稿作成に非常に強い。PowerPoint用のVBAコードを生成させ、自動でスライドを作成する方法もある。 |
| Copilot | 基本機能は無料で利用可能。Edgeブラウザ等に統合。 | ◎ | テキスト、PPTX(Microsoft 365連携) | Microsoft製品との連携が強力。Word文書から直接PowerPointプレゼンテーションを生成する機能が特徴。 |
| Gemini | 基本機能は無料で利用可能。Googleスライドとの連携機能あり。 | ◎ | テキスト、Googleスライド | Google Workspaceとの連携がスムーズ。 Googleドキュメントのメモからプレゼン資料を生成するなど、日常業務との連携性が高い。 |
| Claude | 長文の扱いに長けた無料プランあり。 | ◎ | テキスト | 長い文章の要約や構成案作成が得意。一度に大量のテキストを読み込ませてスライド構成を考えさせることが可能。 |
| Perplexity | Web検索を伴う回答生成が無料で可能。 | ◎ | テキスト | 最新情報や特定のデータに基づいたスライド構成案を作成するのに便利。情報収集と構成案作成を同時に行える。 |
| Gamma | 新規登録時に400クレジット付与。資料生成で40クレジット消費。紹介でクレジット獲得可能。 | ◎ | Gamma形式、PDF/PPTXエクスポート(ロゴ付) | テキスト入力からデザイン性の高いスライドを自動生成。Web上で共有・編集でき、共同作業にも向いている。 |
| Canva AIスライド | 無料プランでMagic Design(AI機能)の利用回数に制限あり(月10回など)。 | ◎ | Canva形式、PDF/PPTX/PNG等でエクスポート | 豊富なテンプレートが魅力。 簡単な指示でデザイン案を複数提案。既存のCanvaユーザーには特に使いやすい。 |
| SlidesGPT | プレゼンテーションの作成は無料・無制限。ダウンロードは有料。 | ◯ | PPTX、Googleスライド、PDF | ChatGPT APIを利用し、プロンプトから迅速にスライドを生成。 シンプルな操作性が特徴。 |
| MagicSlides | 月3回まで、1回あたり10スライドまでなど機能制限付きの無料プランあり。 | ◯ | Googleスライド、PowerPoint | Googleスライドのアドオンとして機能。 テキスト、URL、YouTube動画などからスライドを生成できる。 |
| SlidesGo | 月間テンプレートダウンロード数やAI機能の利用回数に制限あり(各月3回まで)。 | ◯ | PPTX、Googleスライド | 豊富なデザインテンプレートがベース。AIがテーマに合ったテンプレートや構成を提案してくれる。 |
| Opal | (詳細情報限定的) | △ | - | AIを活用したプランニングやアイデア整理ツールとしての側面が強い可能性。直接的なスライド生成機能の詳細は要確認。 |
| まじん式v3 | 無料(要Googleアカウント、Geminiの無料版を利用)。 | ◎ | Googleスライド | GeminiとGAS(Google Apps Script)を組み合わせたプロンプト・スクリプト。28種類のビジネス用レイアウトを自動生成。 |

各ツールの詳細解説
ここでは、各ツールの特徴や無料プランでできることについて、さらに詳しく掘り下げていきます。
対話型AI:構成案とテキスト作成の強力なパートナー
ChatGPT
OpenAIが開発した対話型AIの代表格です。無料版でも、プレゼンのテーマやターゲットを伝えるだけで、説得力のある構成案や各スライドの具体的なテキストを生成できます。特筆すべきは、PowerPointを操作するVBAコードを生成させるテクニックです。生成されたコードをPowerPointで実行すれば、テキストが入力されたスライドを自動で作成できます。最新のGPT-4oでは、直接PPTXファイルを生成する機能も搭載され始めており、今後の進化が期待されます。
無料プランのポイント: * テキストベースの構成案、原稿作成は無制限。 * VBAコードの生成も可能。 * GPT-4oによる直接的なファイル生成機能も限定的に利用可能。
Copilot
Microsoftが提供するAIアシスタントで、WindowsやEdgeブラウザ、Microsoft 365アプリに統合されています。最大の強みはMicrosoft製品とのシームレスな連携です。 例えば、会議の議事録をまとめたWord文書をもとに、要点をまとめたPowerPointスライドを自動生成するといった使い方が可能です。普段からWordやPowerPointを多用するユーザーにとっては、作業効率を飛躍的に向上させるツールです。
無料プランのポイント: * WindowsやEdgeブラウザ上で無料で利用可能。 * Bing検索と連携し、最新情報を反映した内容を生成。 * Microsoft 365ユーザーは、アプリ連携による高度な機能を利用可能。
Gemini
Googleが開発したAIモデルで、旧称はBardです。Google検索との連携による最新情報の反映はもちろん、Google Workspace(ドキュメント、スプレッドシートなど)との連携機能が強力です。 Googleスライドのサイドパネルから直接Geminiを呼び出し、指示(プロンプト)を入力するだけでスライドを生成できます。 Googleドキュメントで作成した文章からスライドを生成したり、スライドに挿入する画像をAIに作成させたりすることも可能です。以前はhtml形式のスライドまでしか作成できなかったのですが、最近のアップデートで、Googleスライド形式で作成できるようになったようです。canvas機能で作成するようなのですが、私が試した際は2.5flashだとダメで、2.5proだとうまくいきました。インフォグラフィックスに近いグラフィカルなスライドが作成できるようです。
無料プランのポイント: * 基本的なチャット機能は無料で利用可能。 * Googleスライドとの連携機能も無料で試すことができる。 * Google Workspaceの各ツールとの連携で作業が完結する。
Claude
Anthropic社が開発したAIで、特に長文の読解・生成能力に定評があります。一度に大量のテキスト(数十万トークン)を処理できるため、長いレポートや論文、複数の資料を読み込ませて、それらを基にしたプレゼンテーションの構成案を作成させるといった用途で真価を発揮します。論理的で一貫性のある構成をゼロから考えるのが苦手な場合に、頼れる存在となるでしょう。
無料プランのポイント: * 長文処理能力が高い無料プランが利用可能。 * 複雑な情報からでも的確に要点を抽出し、構成案を生成。
Perplexity
「会話型検索エンジン」とも呼ばれるAIで、質問に対してWeb上の最新情報を検索・要約して回答を生成する能力に長けています。市場調査や最新技術の動向など、常に新しい情報が求められるテーマのプレゼンテーションを作成する際に非常に役立ちます。情報源を明記してくれるため、ファクトチェックが容易な点もビジネス利用において大きなメリットです。
無料プランのポイント: * 無料で最新のWeb情報を反映した回答を生成。 * 情報収集とスライド構成案の作成を同時に進行できる。
スライド作成特化型ツール:デザインまで一気通貫
Gamma
「ドキュメントのように手軽にスライドを作成する」ことをコンセプトにしたツールです。 テーマやキーワードを入力すると、AIが構成案からテキスト、デザイン、画像の挿入までを自動で行い、洗練されたプレゼンテーションをわずか数分で完成させます。 生成物はWebページのような縦スクロール形式で、そのままプレゼンや共有が可能です。 PDFやPowerPoint(.pptx)形式でのエクスポートにも対応しているため、既存のワークフローにも組み込みやすいです。
無料プランのポイント: * 新規登録時に400クレジットが付与される。 * スライド一式の生成に40クレジットを消費。 * PDF/PPTX形式でのエクスポートは可能だが、Gammaのロゴが入る。
Canva AIスライド
オンラインデザインツールとして有名なCanvaに搭載されているAI機能「Magic Design」を使えば、誰でも簡単に美しいスライドを作成できます。 スライドのテーマを数語入力するだけで、Canvaが持つ豊富なテンプレートと素材を活用し、複数のデザインパターンを提案してくれます。 プレゼンテーション全体のデザインを手軽に作成できるだけでなく、既存のスライドにAIライティング機能でテキストを追加したり、AI画像生成機能でオリジナルの画像を挿入したりすることも可能です。
無料プランのポイント: * AI機能「Magic Design」は無料プランでも利用可能だが、月間の利用回数に上限がある。 * Canvaの豊富な無料テンプレートや素材と組み合わせて使用できる。
SlidesGPT
シンプルさを追求したスライド生成ツールです。ウェブサイト上で作りたいスライドのテーマや内容をテキストで入力するだけで、ChatGPTの技術を活用してスライドコンテンツを自動生成します。 生成されたスライドはプレビューで確認でき、PowerPoint、Googleスライド、PDFの各形式に対応しています。
無料プランのポイント: * スライドの生成とプレビューは無料・無制限で行える。 * 生成したファイルをダウンロードする際には料金が発生する「Pay-Per-Download」モデル。
MagicSlides
主にGoogleスライドのアドオンとして機能するAIツールで、プレゼン作成のプロセスを効率化します。 テキストの要約からスライドを生成するだけでなく、YouTube動画のURLやウェブページのURL、PDFやDOCXファイルの内容を読み込んでプレゼンテーションを作成するユニークな機能を備えています。 100以上の言語に対応しており、多言語でのプレゼン作成にも活用できます。
無料プランのポイント: * 月間3回まで、1回の生成で最大10スライドまでといった制限付きで利用可能。 * 生成されるスライドにはウォーターマーク(ロゴ)が含まれる。
SlidesGo
高品質でおしゃれなプレゼンテーションテンプレートを提供していることで知られるSlidesgoですが、AIによるプレゼンテーション作成機能も提供しています。 ユーザーがテーマやキーワードを入力すると、AIが最適なテンプレートを選び出し、構成案やコンテンツを自動で生成します。 デザイン性の高いテンプレートをベースにAIが内容を組み立ててくれるため、手軽に見栄えの良いスライドを作成したい場合に最適です。
無料プランのポイント: * AI機能の利用は月間3回までに制限されている。 * 無料テンプレートのダウンロードも月間3つまで。 * 作成した資料にはクレジット表記が求められる。
その他・ユニークなツール
Opal
Opalは、AIを活用した思考整理やプランニングを支援するツールとして知られています。直接的なスライド「生成」ツールというよりは、ブレインストーミングやアイデアの構造化を助け、その結果をプレゼンテーションの骨子としてまとめるプロセスで役立つ可能性があります。詳細なスライド生成機能については情報が限定的ですが、アイデアを視覚的に整理し、プレゼンの流れを構築する初期段階で活用できるツールと言えるでしょう。
まじん式v3
これは特定のアプリケーションではなく、開発者の「まじん」氏によって考案された、Googleスライドを自動生成するための画期的なプロンプトおよびGoogle Apps Script(GAS)の組み合わせです。 Gemini(無料版でOK)に特定の形式でプロンプトを入力し、生成された内容をGASで実行すると、Googleスライド上に整形されたスライドが自動で作成されます。 タイムライン、フローチャート、ピラミッド構造など、ビジネスで頻繁に利用される28種類のレイアウトに対応しており、非常に実用性が高いのが特徴です。
無料プランのポイント: * GoogleアカウントとGeminiの無料版があれば、追加費用なしで利用可能。 * APIキーの設定などが不要になり、導入のハードルが下がっている。
注意点:生成AIをスライド作成に使う上で
生成AIは非常に便利なツールですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
- 情報の正確性(ファクトチェック): AIが生成する情報には、誤りや古い情報が含まれている可能性があります。特に統計データや専門的な内容については、必ず元の情報源を確認し、ファクトチェックを行うことが不可欠です。
- 最終的な調整は必須: AIが生成したスライドは、あくまで「たたき台」と考えるのが良いでしょう。 表現のニュアンスを調整したり、企業のブランドイメージに合わせてデザインを微修正したりと、最終的には人間の手による仕上げが必要です。
- 著作権と商用利用: AIが生成した画像やテキストの著作権の扱いは、ツールや国の法律によって異なります。特に、AIが学習データとして利用した画像と酷似したものが生成された場合、意図せず著作権を侵害してしまうリスクもゼロではありません。商用利用を考えている場合は、各ツールの利用規約を十分に確認することが重要です。
- 機密情報の入力: クラウドベースのAIサービスに、企業の未公開情報や個人情報などの機密情報を入力することは避けるべきです。入力したデータがAIの学習に使われる可能性も考慮し、情報セキュリティのポリシーに従って利用してください。
まとめ
本記事では、無料で利用できる12種類のスライド生成AIツールを比較・解説しました。
- 構成案やテキスト作成を効率化したいなら、ChatGPTやGemini、Claudeなどの対話型AIが最適です。
- デザインも含めて、プレゼンテーション全体を素早く作成したい場合は、GammaやCanva AIスライドといった特化型ツールが非常に強力です。
- Googleスライド上でビジネス向けの整形されたスライドを自動生成したいなら、まじん式v3のようなユニークな手法も試す価値があります。
これらのツールは、資料作成にかかる時間を劇的に削減し、より本質的な内容の検討やプレゼンテーションの練習に時間を使うことを可能にしてくれます。それぞれのツールの無料プランを試し、自分の作成スタイルや目的に最も合ったものを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。生成AIを賢く活用し、プレゼンテーション作成をよりクリエイティブで効率的な作業に変えていきましょう。